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2008年01月01日

●“美食の国”でも進まぬ飲食店の禁煙 ミシュラン三つ星店にも「灰皿」

 初上陸したレストランの格付け本「ミシュランガイド」東京版で高い評価を受けた“美食の国”日本。だが、病院や交通機関に比べて禁煙・分煙対策が最も遅れているのが飲食店だ。客離れや売り上げ減少を恐れて禁煙に踏み切れない飲食店が多いことから、日本禁煙学会は「まずはミシュランがお手本を示してほしい」と、室内完全禁煙を評価の基準にするよう求めている。

 受動喫煙の防止を定めた健康増進法施行から4年半。学校や病院、職場などで対策が進む一方、喫煙席の設置やランチタイム禁煙など何らかの措置を講じる飲食店はまだ少数派。平成20年度中の制定を目指して「公共的施設における禁煙条例(仮称)」の検討を開始した神奈川県の調査によると、受動喫煙対策を実施している飲食店は3割にすぎなかった。

 全国の禁煙飲食店を紹介し、月間40万件に上る閲覧があるインターネットの人気グルメサイト「禁煙スタイル」は現在、8000店の禁煙店を掲載しているが、同サイトを開設する兵庫県在住のウェブプログラマー、岩崎拓哉さんは「禁煙店は全国に80万とも言われる飲食店のごく一部」という。

 海外ではアイルランドやイギリス、イタリア、スウェーデンなど、屋内の公共空間を禁煙とする国が増えるなか、日本で対策が進まないのはなぜか。


 岩崎さんは「客が来なくなるなど、売り上げへの影響が大きい」と指摘する。掲載店にアンケートを行ったところ、「誰もいないんだから吸わせろ」「もう来るなということか」など、客から苦情を受けた店が7割に達した。「料理や酒にこだわる店が禁煙に踏み切っても、一度入ったお客が帰ってしまうなどして取りやめたケースもありました」

 2年ほど前、禁煙店を星の数で評価する認定制度を開始した東京都千代田区の担当者も、その難しさを打ち明ける。登録店舗数は伸び悩み、完全禁煙の「三つ星」はわずか18店にすぎない。

 そんな日本の事情をそのまま反映しているのが「ミシュランガイド」東京版だ。掲載店150店のうち何ら受動喫煙対策を講じていない店は2割を超え、なかには「そのために旅行する価値がある卓越した料理」を提供する三つ星の店も含まれていた。

 内容に驚いた日本禁煙学会は、同ガイドが発売された11月、「(星のつく店の評価は)室内完全禁煙を絶対要件にすべきだ」とする要請書を日本ミシュランタイヤ社に送付した。

 もちろん、ミシュランの「星」は、あくまでも皿の上、料理そのものに対する評価だ。それを承知の上で、あえて異議を唱えた同学会の作田学理事長は「先進国の中でも日本の喫煙対策は最低レベル。ミシュランに掲載されれば千客万来で、客が来なくなる心配もない。国内最高のレストランの手本として禁煙店を選んでほしい」と、ミシュラン人気に頼らざるをえない切実な事情を訴える。


 そのお手本ともいえるのは国内最高峰のレストラン、東京・恵比寿にある三つ星仏料理店「ジョエル・ロブション」。

 「お客さまに、たばこのニオイや煙を気にせず食事とワインの香りを楽しんでいただきたい」(山地誠総支配人)と、3年前のリニューアルを機にダイニングの完全禁煙に踏み切った。たばこを吸う常連客もいたが、上質の料理と仏の古城のような優雅な雰囲気で客足が遠のくことはなかったという。

 作田さんは「受動喫煙がどれほど深刻な健康被害をもたらすか理解されていない。1本のたばこのニオイが届くのは半径4メートルだが、無色無臭の有害物質は半径7メートル、3倍の面積まで届いている。その事実を知れば、無関心ではいられないはず」と訴えている。

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