●若尾文子が女優復帰…亡き夫・黒川紀章さんのひと言で決意
世界的建築家の故・黒川紀章さん(享年73歳)の妻で女優の若尾文子(74)が1年半ぶりに仕事復帰することが27日、分かった。昨年は、夫婦で参院選にも出馬。その後、最愛の夫を亡くすなど激動の1年だった。復帰作は今年11月に東京・ル テアトル銀座で上演される舞台「華々しき一族」(原作・森本薫、演出・石井ふく子)。若尾が尊敬してやまない故・杉村春子さんの代表作のひとつに挑戦する。
女優業から離れていたこの約1年間、若尾にはいろいろなことがありすぎた。黒川さんの都知事選への出馬に始まり、夫婦そろっての参院選出馬。そして、10月、夫は突然、旅立った。
11月のお別れ会の際には「日がたつにつれ、黒川の存在が大きくなっている」と失意の大きさを語っていた。しかし、若尾の女優復帰の背中を押したのはほかでもなく、黒川さんだった。
亡くなる少し前、病床で夫は言った。「僕といっしょになったことで舞台の数が減っちゃったね。君にはもっと舞台をやってほしい…」。世界的に活躍する建築家の妻として一緒に渡航することも多かった。これが少し女優活動の妨げになっているのではないか、と気にかけていた。
この言葉を反すうする中で、次第に気力を取り戻した若尾は女優業を再開させる気持ちが固まった。映像の仕事の話も数多くきていたが「あらためて舞台に立ちたい。舞台で演じ切りたい」との思いを製作サイドが理解して企画されたのが、劇団文学座の看板演目だ。
「気品にあふれている」と尊敬してきた杉村春子さんの当たり役、諏訪を演じる。本人が長年、一番あこがれていた役だという。若尾と杉村さんは映画「四十八歳の抵抗」(吉村公三郎監督、1956年)、「美貌に罪あり」(増村保造監督、59年)などで共演した。
「―一族」は、さまざまな愛情と心理が絡み合う家族劇で機知に富んだやり取りが見どころ。一族に秘められた内幕が浮き彫りにされ、華々しさの崩壊へとつながっていく。共演は西郷輝彦、松村雄基ら。演出を若尾の舞台を多く手がけてきた石井ふく子さんが担当する。公演は11月6日から16日まで。
◆若尾 文子(わかお・あやこ)1933年11月8日、東京都生まれ。74歳。52年「死の街を脱れて」で女優デビュー。山本富士子、京マチ子らと大映の看板女優として活躍し、これまでに160本を超える映画に出演。代表作は「妻は告白する」「しとやかな獣」「越前竹人形」「清作の妻」「赤い天使」など。
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